ysg

観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2022/10/8-10 Matsu-Ragi丸 第3回公演『MERDE』@武蔵野芸術劇場

ややご無沙汰しております。黒田七瀬です。

気づけば11月目前、とたんに肌寒くなったことにより「冬服がない!!!」と慌てふためいております。毎年断捨離後に買い足す前に季節が変わってしまって追いつけません。皆様いかがお過ごしでしょうか。

10月といえば!今年は!


f:id:mikoxn:20221010210000j:image

f:id:mikoxn:20221010210004j:image

Matsu-Ragi丸の有観客での公演が開催ということで、アワワおかえり日常…!大変に嬉しい気持ちでいっぱいです。過去の公演も10月だったかと思うので、どこか心待ちにしていた私が居ます。

2019/09/14-15 Matsu-Ragi丸「CAROL〜gang star & downtown princess〜」がはちゃめちゃに面白かったお話 - ysg

そんなわけで観劇して参りましたので、めちゃくちゃに遅ればせながら例によって(殴り書きの)感想たちをつらつらとメモしています。観劇しないと感想を書くなんて無理なので、この工程を踏めるのがいつも嬉しいです。よろしくお願いいたします。

なれば

  • 主役はたぶんシルフィなんですけど、それ以外のキャラクターたちも個々に抱えているので、それぞれに魅力的な作品でした。おしほさん演じるシルフィの跳ねる感じがとても可愛くて!セリフや歌やダンスが素敵なのはもちろんなんですが、私がいちおししたいのはハケるときの跳ね具合。がんばらなきゃ!(ピョンッ)ていう感じでハケていくので、同じように心が(ピョンッ)て跳ねる感じがします。元気をもらえました。アイドルは髪の毛の先まで可愛いじゃないですか。そういうことです。
  • マーゴを演じていた水野愛日さんの立ち姿、本当に美しいのでつい見惚れてしまいました。ライトを背に立っている影がとても綺麗なのはもちろん、階段に腰掛けて前を見据えている姿も凛としていて美しかったです。細部までがしっかり芯が通っていて、これが見られるということなのか!と(呑気に)考えておりました。パフォーマーの皆様の中で踊っても引けを取らない!そのフォルムと言いますか、自信にあふれている姿はまさにマーゴ!この子は愛されて来たんだわ、大切なあらゆるものをしっかり愛しているんだわ、と。ダズに注いでいた愛を自身に、夢に向けて前に進む姿は本当に素敵だし勇気をもらいました。でもねえ〜〜ふとした瞬間がねえ〜〜可愛らしくてねえ〜〜!純粋にまなびぃさんが好きです。素敵でした。
  • ユニカこと西村ちなみさんの歌に惚れ惚れ。お芝居が好きなのはもちろんとして、この劇場を愛しているのだとひしひし伝わります。役柄的には長年キーノート劇場に立ち続けている大ベテランの女優さんというのもあり、その対比として若手のコニーことゆりなさんがいるっていう。「若さが武器〜♪」のパート、生意気で可愛くてあざとい要素が盛り込まれてて良きです。若さは美しいけど美しさは若さではないので、それぞれの持つ美しさが炸裂してて楽しかったです。どちらが良いではなくて、どちらも好き。
  • あんなぽんたさん見たことない!!!というくらいの分かりやすい悪役ポジションであるホーネット。ぽんたさんの歌い方や踊り方がコミカル要素を含んでいるので、『嫌いになりきれない悪役』という感じで好き。やだぁあいつ嫌なやつだもん。と言いつつ直接こちらから攻撃するわけでもなく。たくさん頑張って悩んで、いろんな感情を抱えながら自分を選んだんだなあ、と。結果的に富と名声は得ているので成功したと言えるんだろうけど、きっとねえ、ずっと満たされないんだよ。その感情を無理やりバイタリティに変換して前に進み続けるんだと思う。負の感情をガソリンにできる人は底知れないから怖い。故に目を惹かれたりもする。幸せになったと感じてしまったときが正念場なかんじ。ぽんたさんご自身が「なんでも陽キャになっていく〜!」と言っていましたが、それってすごく魅力的な要素だと思うのです。
  • 第1回公演から出演されてる小田久史さんのパペットのシーン、最高に気持ちが悪かったです。自己主張ってなんです?究極言ってしまえば人に流されているのも自分の選択に他ならないのであって。ダズの目虚無感が客席の、乱視弱視を抱えたひとり(私)に届くのはね、それはもうお芝居であり表現力の成せる技ですよね。彼の環境が変わったというよりは付いていく相手が変わっただけで、根本的にダズはたぶんずっとあのままなんだろうなあ。
  • グレッグ もとい まさともさんの動作?所作?が本当に面白くて「すげー!!!」となりました。「練習しよう?」のくだりは、グレッグのお芝居スキーな部分と人の良さが集約されているのでは?ととても思いました。とにもかくにも練習しよう、お客さんは演劇を、あるいはこのグレッグを待ってるんだからね!!!!(圧)という無言の圧。その圧を持っていたとしても人を攻撃しないのが個人的なグレッグさんの好印象ポイントです。お芝居が、演劇が、ミュージカルがお好きな方で、利害の一致でホーネットと一緒にいる部分もあるかもしれないけど、それよりもとにかく表現が好き!人を愛し愛されるのが好き!という完全なる光。少しも影が見えない。その分誰かを濃く翳らせてしまっているのかもしれないけど。それを受け止めて前に進む強さを持っておられる。途中から何を書いてるのか分からなくなりかけていますが、最終的に選んでくれた道筋がやっぱりまっすぐで、人となりを裏切らずに光でいてくれてよかった。明るくあってほしい。誰かを支えてあげてほしい。たとえ当人にそのつもりがなかったとしても。
  • サポートキャストおよびパフォーマーの皆様、出てくるたびに衣装が違う…!ガツガツ踊ってしっかり魅せて、数刻後には違う人になって溶け込んでいる。村上さんと渡邉晃さんに関してはセリフもありますからね。かっこいいの一言。
  • (これは個人的な感想です、と念を押しつつ)今回はエンタメの世界が舞台なのもあると思いますが、これまでの公演と比べて明かりの色彩というか色味が淡く感じました。Matsu-Ragi丸だけじゃなく、これまでに私が観た藤丸さんが脚本と演出をされている作品って、私が照明の明かりに目を奪われやすいのもありますが、色の印象というか存在感がとても強いんですね。だからなんか、こう、明かりの色がね、いつもよりも淡く見えてしまって。プロジェクションマッピングを使う特性上、舞台自体が白がメインなのも多分にあると思いますが、なんというか「お?」ってなってます。ここは自分の中で消化できていないので言葉選びが難しいんですけど、いろんな意味で「あ、作品終わるんだな」と思いました。わからんよ!わからんけどね!
  • 過去の2回の公演では、Matsu-Ragiのお2人が演じるメインキャラが幸せに!仲睦まじくハッピー!っていう印象が強かったんですよ。だから内心「なんだかんだおっしゃいますけど、今回もハッピーエンドなんでしょ?記憶も戻りますでしょ?」とすこーし、ほんのちょびっと安心していたんです。そうあってほしいと願っていたんですよ。だけど実際は記憶が戻らないどころか記憶できる時間が一日から半日になっているし、日記持ってないからシルフィのこと覚えてないし、「ハッピーなのかな…?????」ていう結末。みんな集まって大団円ではあるけどハッピーではないです。Matsu-Ragiの持つ光の如き幸せに甘んじていた自分に気づきました。頑張って生きます。

f:id:mikoxn:20221010212510j:image

愉快な前説にて。

こうしてまた有観客で好きな団体さんのお芝居を観られる!というのは、数年前までは当たり前に根付いていた事象なはずなのに、それがめっきりなくなって。でも複数回のカーテンコールを見て、きっとまだお客様も役者さんも手探りなのだわ、でも愛しているのは変わらないはずだから続いていって欲しいわと思いました。しっかりエンタメ!な作品を観たからか、そんなことを考えておりました。

とにかく楽しかったです。劇場のあの空気が好きです。人の熱気が好きです。誰かの愛に触れるのは心地よいものであると思いたいです、と。

皆様お疲れ様でした!!!!