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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2022/12/14〜18 -ヨドミ- 第二回公演『骨、噛み』について

黒田七瀬です。

12月14〜18日の-ヨドミ-第二回公演『骨、噛み』にて、当日運営として携わっておりました。ご来場頂きました皆様、ありがとうございました。例によって今回も検温や消毒など、多くのご協力をいただきました。まだしばらくはこの流れがスタンダードになるんだろうなと思いながら、いつもご案内しております。いちスタッフとして、ご理解ご協力いただきましてありがとうございました。


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ツイッターやインスタグラムで誰もが綴っていたとおり、約二年の時を経ての第二回公演。心待ちにしていた公演だったので、前回に引き続きスタッフとして携わることができて嬉しく思います。本当にありがたいです。

さて

今回もゲネプロを観ることができたので、自分のための書き殴りブログです。最初から最後まで個人の感想です。

  • ハマツさんがめちゃくちゃカッコ良い。私の中でいちばん好きなハマツさんのシーンは、集団as if~解散公演の『千一夜の物語』での「ハマツタカシです…」っていう、女王様との謁見の場のシーンで、今でも覚えているしフフッてなっちゃうんですけど(2018年の12月の公演なので、なんと4年前でした)、たぶんふつうの、ただの人間のハマツさんのお芝居が好きなのかなあと。ふつうに名乗ってるだけで面白い。わざわざなにかをせずとも、何かするのかも!と思ってしまうし、何かをしなかったとしても面白い。持っているものが面白い。いいなあ。もちろん無茶振りやアドリブに応える面白いハマツさんも好きなんだけど、ご自身がそういうシーンに身を置くのではなく、他の人が楽しいシーンで盛り上げて、自分は生活を営んでいる。というのを私はお芝居上であまり観たことがないのです。だからこそ、まっとうに生きるために嘘をつかずに頑張る望の姿が、生きるために生きているごくふつうの人間の姿が、とてもかっこよく思えました。可哀想だとは思わなかった。報われないなあとも思わなかった。ふつうのひとつの生き方だった。好きなものを好きだと言い続けられるほど子供ではなかった。幸せであってほしかった。でもそんなのさ、無理じゃん。迷うじゃん。困るじゃん。気持ち悪くなるじゃん。無理じゃん。無理だよ。いっそひとつの救いになったんだろうか。そう考えると少しだけ安心します。
  • メグもとい加々見千懐さんのお芝居というか、声の出し方が好きです。上手く言えないけど、なっちさんの声であるのは認識しているのに、役そのものでそこに在るという事実がすごいなあと、思います。目を瞑っても分かる声。存在している。目に宿る意思が強いからこそ、目が見えないメグという役の色濃さがなんかもうすごかった。その目力で見つめているのは虚空で、視線が合わないという状態がより際立っているように感じました。目に宿るというよりも目に孕むのほうが言葉的にはフィットしています。「たぶん人よりも死にたいって思う回数が多くて」という台詞が好きです。生きることや死ぬことに対する軽さが良い。どっちでもいいと思う瞬間もあるのかなあ。
  • U子さんと奈々瀬さんが演じた、現在と過去の真希さん。対比が面白いなって思います。半分は私の血だと自分のエゴを貫き通して子供を生んだ過去、その子に本当のことを言えないまま日々を過ごす現在。世間的な、一般論として望まれないことのほうが多いであろう子供に望って名付けるのはこういう方なんだと思いました。家族からしたらたまったもんじゃないよ。どんな手を使っても生ませないようにするよ。一生恨まれても絶対にそうするよ。これは息子への祈りではなくエゴでしかない。名付けという行為自体が祈りというより呪いという意味合いがあると思っているけど。私なら生まないで欲しかったって思ってしまう。こんな奇跡はいらなかった。それがお母さんの愛情というオブラートに包んで仕舞えば許される可能性があるかもしれない、というだけ。最期に息子を感じることはできたけれど。純粋な恐怖。とてもこわい。母親というのは総じて怖いものですが。母性が宿ったのであれば守るべき対象なわけで。変な気持ちです。こわかった。母親って生き物は、もはや別のものなのだと。
  • 幸せになりたくない、っていう言葉の矛盾が刺さる。幸せって結局のところなんだろう。友人がいて、生きていて、足があって手があって、それが自由に動いて、今日の天気や目の前の色を認識できて、それを自分の言葉にできて、それを話せる他人がいて。幸せってなんだろうな。あなたは幸せじゃないんですか?それは傲慢ではないですか。幸せを拒むというのも、ある意味幸せなのではないかなと思います。幸せってなんだろうね。延々と考えてしまいます。

 

いちファンとして(と括ってしまうのも恐れ多いんだけど)、作品を観ることができてとても嬉しかった。待ち望んだ第二回公演をリアルタイムで観られて嬉しかったです。よかった。その一言に尽きます。どうやって生きていきたいのか、生きていくべきなのかを自問自答してしまう日々の中、誰かの生に触れられるというのは、すこしだけ心強いことなんだと思いました。

とりとめがなさすぎるので、今日はこのあたりでまとめておこうと思います。たぶんまた内容増えたり減ったりするんだろうなあ、と予想しています。感じることや考えることはどうしても移ろっていくものなんだろうなあと、やっぱり思ってしまうので。

 

あらためて

今回の公演に携わった全ての皆様、本当にお疲れ様でした。そしてご来場頂きました皆様へ、まことにありがとうございました。〆