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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2021/12/15-19 -ヨドミ-「ポラリス」@下落合TACCS

黒田七瀬です( ˙꒳​˙  )

あっと言う間の年の瀬で、もう新しい年が間近なのかと呆然としている今日この頃でございます。だからと言って時間が流れるのは悲しいばかりではなくて、12月は-ヨドミ-の公演があるぞと思いながら生活していました。

そんなわけで

-ヨドミ-の第3回公演「ポラリス」を観劇しました!お待ちしてました!

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-ヨドミ-の正方形のフライヤーがとっても好きです。雰囲気もそうだけど形が好き。美しい。並べて飾って眺めたい。

さて

-ヨドミ-としては一昨年の第一回本公演から間を空け、企画公演のヨドミカケと特別公演「四則演算」を経て迎えた2回目の本公演。12月に入ってからずっとそわそわしていました。

指折り数えた今日この日、客席に一歩足を踏み入れて「わあ」と思うような舞台と、そこに佇む怪物。既に目の前に世界が待っている!というときめき。もっと私に語彙力があればいいのにと今回も思いました。実際に目の当たりにした方なら分かるであろうお話です。

というわけで、いつものメモ書きです。

  • 個人的に中山ヤスカさんは浮世離れされている方だと思っていて、それは雰囲気だったり視線の色だったり声だったり色々が理由なのですが、これまでに拝見したヤスカさんのお芝居の中でいちばん実態があったように思います。決して変な意味ではなくて、今まで私が感じていたのが」ヤスカさんのお芝居はとても素敵」っていう印象だったのが今回は「あれはヤスカさんではないよね、怪物だよね、そこにいるけどフィクションだよね」と思ったと言うか、要は中山ヤスカさんが演じた怪物、ではなくてただの怪物がそこにいたなと感じました。これまでももちろんお芝居の説得力や魅力はたくさん!たくさん目撃してきたけど、ヤスカさんがどこにもいないと感じたのは初めてで、あれは誰だろう…あっ怪物…初めてお会いしたので知らない方ですね…っていう。私は後ろのほうの席にいたのであまり見えてはなかったけど、今回のヤスカさんはかなりしっかりめに(?)メイクをされてたように思うんですね。ベール被ってるのもあって私は見えていないんですよ。でも継ぎ接ぎの、不完全な何かが蠢いているように感じて、5周回って落ち着いてしまったというか、要はあれはヤスカさんじゃなかった!と感じましたというお話です。最後の最後で「寂しい」と溢した場面、うわあと思いました。苦しくて。たった4文字にいろんなものが詰め込まれていて、喉元から何か出てきそうな、そんな気持ちになりました。本当に素敵だった。
  • 創木さんのお芝居が好きです。良き親友の立ち位置で、持ってる雰囲気も優しいんだけど、このまま優しいだけで終わるわけがないと思いつつ見守っていました。だからマリーに対して牙を剥いたあの一瞬で一気に気持ち悪くなって、うわあやっぱり!と変に嬉しくなってしまって。自分の欲に素直なキャラクターは好きなんですが、嫌悪感とは異なるベクトルの「気持ち悪い」を出すのって難しいと思うんですよ。嫌悪感は少しもないけど、たぶんイムは自分のことを悪いと思ってない気がするんですよ。ごめんと言いつつも反省してない、みたいな。「私がこれをこう思ったからこうする」っていうのが行動の基準なのかなと。旦那さんに愛されたいっていう強い思いが故なので、そのためなら手にかけても仕方がないよねっていう。マリーのことをそもそもこう、友人として100%好いていたかは別として、長らく親交があった相手を殺しちゃうけど、それは旦那さんも望むことだし何より自分の願いのために必要なことだしっていう。このお話の後はちゃんと愛してもらえたのかしら。お二方のその後に思いを馳せます。
  • なっちさんがとても可愛かった。アルゴに対する扱いがとても良かった。彼女も彼女で好きな人に身を捧げるという欲求に従って命を捨てたわけだけど、その一途さも考えようによっては狂っていると捉えることもできるんだよなってしみじみしました。総括してとても可愛くていじらしい方でした。きっと幸せに人生を終えたんだろうな…そうだといいな…
  • アルゴさんもといハマツさんが…こわかった…。なんとなくね、序盤から野心家な雰囲気というか胡散臭さは漂っていたけど、だんだん露骨になっていったのがとても小気味良い気持ちでした。ハマツさんは声の圧が強いので、野望がある方の役がすごくしっくり来ます。そのうえでたまに出てくるコミカルなシーンがいつも面白いので、魅力的な方だわとコッソリ感じています。
  • 恵太郎さんの狂信者もとい教祖だったりの振り切った役所は見ていてとても楽しい。誰彼がおいそれとできるものではない物を持っているって、当たり前だけどめちゃくちゃかっこいいですよね!!!あとこれは関係ないんですけど、カーテンコール時の「ハッシュタグ」の言葉がなぜかものすごく面白かったです。具体的な理由は分からないけど、つい笑ってしまいました。良いなあ。言葉をとても大事にする方だなあといつも感じております。
  • 藤丸さんのお話のイメージといえば、序盤は捲し立てるような早口な、がどうしても強いんですけど、今回はそれが少なかった?ように思ったので、いつもよりフィクション感が強かったです。勝手なイメージなんですが、序盤からズダダダダダっていうスピード感があってどこかで落ち着いて、みたいな流れがあって、気づいたらお話に巻き込まれている!っていう印象なんですが、ゆるやかに話に入っていったせいかこう、絵本を見ているというか、物語の世界に「いる」みたいな気持ちになりました。だからなのか分からないけど心の中は凪いでいて、自分の中の感情の波みたいなものが…なんだろう…弛んでいるというか、机よりもだいぶサイズが大きいテーブルクロスみたいな、そんな感じ。所々ぐちゃぐちゃだけど一応まっすぐみたいな。全然上手く言えない。ウワアアアアアじゃなくてウワアァ…ァァ…みたいな…。いちばんイメージに近いのはPS3のクラシックのホーム画面のあのうねうねしてる白線です(伝わってください)。
  • 人間の欲というのはどう足掻いても良くない印象を持たれがちだし、汚い浅ましいものであると描かれることが多いけど、藤丸さんの描く作品においての欲は美しいなあと思います。欲と言うより慾っていう感じ。密度が濃くてどろどろで目がチカチカするというか、頭がぐちゃぐちゃになることもあるし、一瞬だけ「うわ」と思うこともあったけど、でも綺麗。今回はこの「うわ」もなく、美しいものがたくさん残ったので、これは…これは一体…なんなんだ…。

年の瀬のこの時期に-ヨドミ-のお芝居を見られて本当に楽しかった…!いろいろ考えてしまって後日頭がフリーズしたけれど、それもまた楽しい時間です( ˘ω˘ )

ありがとうございました。