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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2022/2/11-13 Fujimaru presents「幸せの刻」@阿佐ヶ谷シアターシャイン

黒田七瀬です。

ブログ上ではあけましておめでとうございました!本年もよろしくお願い申し上げます。先日は雪が降ったりとまだまだ寒い日が続きますが七瀬は元気にやっております。

そんなわけで観劇に行ってきました( ・ᴗ・ )

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「幸せの刻」は、3年前に朗読劇として観に行ったことはありましたが、舞台での公演を見るのは今回がはじめて。おおよその話を知ったうえで観に行くことってまずないので、どんなふうに今の自分の目に映るのかなあとドキドキしてました。結論だけ言うと見え方が全然違ったので、役者さんって面白いなあと思っていました( ˘ω˘ )

というわけでここからはいつものメモ書きです。

  • 『幸せの刻』という作品がとても面白くて好きです。この作品以外もそうなんですけど、藤丸さんの作品には人の欲がかなりはっきり明確に描かれていると思っていて、とくに『幸せの刻』は欲というものが主軸になっているなあと感じます(それを言い出したら多くの物事のきっかけは欲なわけですが)。欲という言葉だけ聞けば、どちらかと言えばマイナスな意味で描かれがちだけど、藤丸さんの作品のなかでの欲って、すごく綺麗だなあと思うのです。そもそも作品の舞台になっているタイムリープだって陣内さんの『もう一度やり直したい』というもはや呪いになりそうな強い欲が原因だし、ここまで来るともはや欲じゃなくて慾だし、その元になった愛ちゃんを殺した松本さんだって北里さんに好かれたいがためにしたわけだし、北里さんは陣内さんに愛されてる愛ちゃんが邪魔で松本くんを唆したわけだし。宮田さんは最終的には『愛ちゃんにはこうあってほしい』という自分の思いを勝手に『愛ちゃんの幸せ』として語っています。結果それが愛ちゃんの思い全否定になっちゃったわけだけど、ここにたどり着くまでの全員が自身の欲求によって実は事態がねじれまくっているんですが、それに気づいたのが全く蚊帳の外の宮田さん。なんで…って思ったけど、欲に取り付かれると盲目的になっちゃうものだし、それはそれで人の人としての姿なのかもしれない。事の主犯である北里さんに至ってはちっっっとも反省してませんからね!こわい通り越して気持ち悪いの領域です。その意思の強さがやばい。おまけに部長と榊さんは不倫中だし。だいぶズブズブの泥沼環境ですけど、それでも最後まで見ると不快感はなく、むしろ綺麗だったなあと思ってしまうから不思議(個人の感想です)。というわけで長々書きましたが、品川さんは品川さんのままでいてほしい。
  • 愛ちゃんの天真爛漫さがすごい。以前朗読劇で愛ちゃんをやっていた鈴木さんのものとはまた違う無邪気さ。ピュアっピュアで明るくて憎めない自由な愛ちゃん。可愛かったなあ。頭なでなでしたい。美味しいものいっぱい食べてほしいし好奇心に任せて生きてほしい。それだけに陣内さんとの対峙以降のシーンは純粋な憎悪そのものになっていたのが印象的。「私の幸せを他人が勝手に決めるな」という台詞、やっぱり好きです。お話には関係ありませんが、衣装で着ていた白いシャツワンピースが好きです。
  • 榊さんを演じていた橘U子さんのお芝居を間近で見たのは初めてだったんですが、出てくるたびに面白くて笑ってしまって、私はなんで生きているんだろうなとまで思いました。職場のお局様ポジションなのにとってもお茶目で可愛い方。部長が絡むと意地っ張りなただの乙女になってしまう榊さんですが、キレるところと部長と話すときの振り幅が超振り切ってるから飽きないし憎めない。かと言ってふざけているわけではなく、むしろ真面目にちゃんとお仕事されてる方なので、いやな人だわっていう印象が残らない。そして可愛い一面も持っていらっしゃる。総括するととてもズルい。「これはアドリブ?それとも演出?一体なにが起こっていたの???」と今になって思いますが、目の前で見ているとただただ面白い。私が好きだったのは「レベル品川ですよ、ねえ?」っていうのを品川さん本人に問いかけてそのまま話を進めるところ。間の使い方とバランスが本当に抜群。表情もかっこいい。四宮さん演じる部長が絡むともっと面白いです。でも不倫は嫌よ!!!!
  • 北里さんもといかなえさんが綺麗なお姉さんやってて「ホワワァ」と思っていたんですけど、最後のシーンで陣内さんが愛ちゃんと決別しようとしてるときの北里さんの表情がねえ、髪の毛の隙間からチラリと見えたんだけどねえ、めちゃくちゃ笑っているように見えて怖かったよねえ。私の中で「気持ち悪い」は褒め言葉の部類に入るのですが、ウワァ気持ち悪いってなりました。かなえさんってすごく目力が強い方じゃないですか。人は目に心が表れるなんて言いますけれども、その目が隠れてるのに気持ち悪いってヤバくないですか。このお話のなかでひとりだけハッピーエンドに突き進むのマジでやばいと思います。メンタル鬼強女がここに幸せを掴んだのです。恐ろしい。強く生きようと思いました。北里さんの名前だけ太字になっている理由は私のツイッターを見ていただけると分かってしまいます。その節は大変申し訳ございませんでした…。
  • 松本くん 生きて
  • 品川さん 生きて
  • 陣内さんの影 哀愁
  • 今度は愛ちゃんではなく宮田さんが時間に囚われてしまったの?なエンドでお話が終わったんですけど、宮田さん役の小田さんの完全な闇落ち(と呼ぶとチープかもしれないけど)のキャラクターってたぶんはじめて見たのです。藤丸さんの作品をはじめて見たのがNO PLANで、藤丸さんの作品に出ている役者さんではじめてお名前を覚えたのが小田さんだったので、観に行く公演に小田さんの名前があると「おお!」ってどうしてもなってしまうので、今回も例に漏れず「おお!」となったわけですが。宮田さん、たぶんいい人だと思うんですよ。いい人だと思うんだけど、巻き込まれて流されてああなって、自己主張という自己主張がないままにあの場に同席して、自分の思う幸せを結局選んで愛ちゃんガン無視して終わらせちゃうの、普通にやばくないですか。たぶん本人に自覚ないのでは。いい人枠みたいな顔してますけど、実際そんなことないんじゃない?と思わされたのでした。果たして宮田さんを救う何かは現れるのか、それとも。選ぶ勇気と責任って本当に必要。何事も。

ハイ。

作品とは全然関係ないんですけど、公演がはじまる直前にお茶を飲もうとしてペットボトルを開けたとき、うっかりペットボトルのキャップを落としちゃって、見つける前に暗転してしまったので公演中はどうにかお茶をこぼさないようにしてました。うっかり手元が緩んで大惨事!なんてことにならなくてよかったです。キャップは公演後に無事に回収でしたけど、お茶はすっかり冷めちゃってて悲しくなりました。気をつけて生きようと思いました。ありがとうございました。〆

 

(オマケ)

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↑全ての元凶はこれです