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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2021/7/15-18 -ヨドミ-「四則演算」@中野スタジオあくとれ

ご無沙汰しております。黒田七瀬です。

7月15〜18日に行われた-ヨドミ-さんの特別公演「四則演算」にて、当日運営としてお手伝いさせていただきました!ご来場頂きました皆様、誠にありがとうございます。割と満身創痍で書いておりますです。


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見よこの美しいフライヤー。-ヨドミ-のフライヤー、毎公演とても素晴らしいのですよね。綺麗。ちゃんと漢字で、綺麗。きれいではなく綺麗。

(画像の横並びなんていうハイカラ機能があるなんて…!)

検温やアルコール消毒等々、ご協力頂きましてありがとうございました。

あくとれは初めてしっかり当日制作(というか受付)をした小屋さんなので、今回お客様を迎えての公演で再び受付をすることになり、少しほっこりしておりました。このご時世ですから殊更に。次回からは多少思いは薄くなるのかしら。おまけになんてったって-ヨドミ-ですからね!!純粋に公演を楽しみにしていたひとりなので、とても嬉しく、有難く。

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さて

ここからは例によって、個人的な感想を!ババっと。私の語彙力のなさから毎度長くなってしまういつものメモ書きです。とは言え今回は短めです。

  • 里子さんはいま幸せで、だから彩に対してあんな言い方ができるんだ。さらに言えば、結婚して20年近く経っているのに自分が子供がいたことを隠していて、ともすればこのまま墓まで持っていくつもりだったのだろうと。もし里子さんが結婚するときに彩さんの存在を旦那さんに告げていて、且つそれが受け入れられていたとして。幸せな家庭で育った鈴夏さんのポジションに自分がいたのだと知ってしまって、産みの母親にお前なんて生んでないって言われたと考えると、正直吐きそうになります。自分の全てを呪うし、いっそ産まないでくれよと恨み続けます。
  • 他人の幸せを祈れる人の多くは自分が幸せであることに自覚的な人だと思っているので、想像しただけで気色悪いです。人の幸せを願う人は本当に無理。意味が分からない。もちろんそうじゃない人もいるだろうけど。少なくとも里子さんはそのタイプだと感じています。今回の一件はぶっちゃけざまあみろと思っている。いちばん良心的だった旦那さんが死んだのって、事実を隠して結婚したことで過去を忘れてしまって、幸せボケぶちかましたのが最大の理由だと思っています。「子供の責任は親の責任」「命にかえても子供を守るって決めたの」「わたしの子供はただひとりよ」等々、理想の家庭で理想の親になろうとしてるけど、目の前にいる自分が捨てた子供に対してそれを言うのは…ふつうなヤベェやつだよな…相手が彩さんだってことに気づいてなかったとしても、過去が完全になかったことになってるし。最期に元旦那さんと再会して、捨てたはずの娘がいて、彼女に愛してると伝えながら笑って、いったい何を思いながら死んだんだろう。最後に幸せな家庭を見ながら死んでいったのが腹立たしい。
  • 「そんな大層なことじゃなかったと思いますけどね」「たぶん自然とそうなるんだろうなあって」……………(´・ω・`)
  • 彩さんは幸せになりたいと本当に思えていたんだろうか。善造を引き連れて施設を出て、大学に行ってバイトに行って、廃人になった父親の面倒を見て借金を肩代わりして、ってこの時点でわざわざ背負わなくてもいいものをみっつも持っていて。それよりも家族とか愛情への憧れが勝ってしまったのかしら。どんどん幸せから遠ざかっていくのが痛々しいです。苦しいです。近しいものを勝手に感じております。でもいちばん美しかったから、よけいに胸が苦しい。
  • 創木さん、とても不思議な方だなと感じました。他の人がどうという訳ではなく、「こう言う人いるな」っていう。お芝居なんだけどお芝居というより、なんかもうそこに居るな。という感じに近い。圧巻でした。藤丸さんの作品でここまで気持ち悪くなったのははじめてです。素敵。ありがとうございました。
  • 逆に加々見さんは、嫌味でも過剰でもなく、届きそうで届かない架空の存在だなと感じています。手が届かないわけでもなく、かと言ってすぐ近くにいるわけでもない。でも、だからなのかもしれないけど、彩さんのしんどい境遇の話を目の当たりにしても、「でも大丈夫なんでしょ」と思ってしまう。あれだけの凄惨な過去を背負っていながらも、可哀想に見えなかったのです。可哀想というか哀れ。周りに巻き込まれた結果の現在。それは立ち振る舞いの力強さや芯の強さがあるからこそ思うのかも。心が脆いのを隠そうとして立ち続けてる感じ。でもちゃんと子供で、大人になりきれていなくて、大人になるしかなくて、っていう……言葉が抽象的すぎてつら……
  • 鈴夏さんの「私たちうまくやってたじゃない」っていう言葉が嫌い。最初の方こそ良い子だと思ったけど、この台詞が出た時点で少し引いてしまって、そのあとに続く言葉で「この子は彩さんを見下す瞬間を何度か経ているんだな、だからうまくやってるなんて言い方が出来たんだな」と感じました。驚いただけであの言葉は言えないと思うんだ…2人の関係性に敬意はあったんだろうか。唐突に下手に出てきて、でもすぐにマウント取ろうとするのが心底気持ち悪かったです。仲が良い人への怒り方ではないと思うの。姉妹だって言われて「そんなことあるわけないじゃない」って答えたのが、お前と私を一緒にするなって言ってるように聞こえてしまう…話を受け止めて考える前に攻撃になってる時点でこう、施しを与えていた意識というか…とても嫌いだ…
  • 善造は良い子なんだろうなって思うんだけど、自分の行いを「こんなの良くないよ」って言うのは、果たして彩さんのためと言えるんだろうか。法を犯させないと言う意味では間違いではないけど、本当にそれは愛なんだろうか。それは押しつけにはならないんだろうか。 鈴夏さんを助けたのだって、考えようによっては自分のやりたいことをやってただけだもんねえ。無邪気で無責任な愛ほど人を追い詰めるものはないよね。だって人は優しいもん。
  • パパン…正志さん…惜しい人を亡くしました…。正志さんの良いところは、人のために声を上げられること。ところがそのお相手は自分の気持ちを発することよりも相手を責めることが多いタイプなもので、アラ果たして正志さんは愛されていたのかしら?と疑問を持ってしまいました。今回の作品中で唯一の良心と言えるであろう正志さん、普通にしっかり大人の男性に見えなかったのでかえって難しいんだろうなあ…少しでも嫌な人感が出たら良さが減ってしまうと思うのです。ちなみに正志さんを演じていた平塚さんのセリフのなかなら「ここに親が戻ってくることなんかないのに」がいちばん好きです。こちらは普通に嫌なやつが滲み出でました。役者さんってほんと…こわいネ……
  • 「私の幸せ」「いらなくなった宝物」
  • 正吾さん、こわい。廃人になったときの女物の服装ってアレ、たぶん里子さんが置いていったものだと思うんだけど、居なくなっても縋り続けてるってことなわけで。最後にスーツでめかし込んでいたけど、あの状態でもネクタイをせずに手に持ってるのが、もはや人間ですらないものに縋っているように見えて「うわぁコイツ…」ってなりました。彼は本当に小説を書いていたんだろうか。書いていたことがあるんだろうか。一体何を書いていたんだろうか。小説家は気に入ったものしか見せたくないとか、妻をも泣かせるトんでるからこそ儚いとか、愛しているよのくだりさえも自分の理想とする『小説家の自分』に酔っているだけなんだよなぁ…最初から最後まで空想でしかない。個人的には後味の悪さはなかったです。
  • 監禁されてるときの照明の移り変わりやばくないすか。あと、彩さんと誰かが一緒になって照らされてるとき、偶然かもしれないけど彩さんが翳っていてもう一人は光が当たってることが多くて。鈴香さんと彩さん、その事実を見るたびに遣る瀬無い気持ちになりました。どうあっても幸せにならないんだろうなと思うしかなかった。かは
  • ↑かは?
  • 後半の後半で里子と鈴香の影がちょうど対角線上になっていて、同時に影になるようになってて(たぶんパンを食べるとこ)、アーーーーーっていう…言葉を失うと申しますか。とても絶望しました。 藤丸さん演出の作品ならお馴染みだよな、と思いつつ。一気に虚無。
  • 音が良いです。こわいです。今回はとくに中毒性が高い曲ばかりなので、サウンドトラックとか欲しいです。妄想が捗りそう感。
  • 中佐さんの照明、ヤベェです。細かな仕掛けが心地良い。空間企画さんのインスタレーションがとても楽しみです!!
  • -ヨドミ-さんの素敵ポイントのひとつに、フライヤーデザインがあると思うんですよ(唐突)。正方形ってめちゃくちゃ可愛いと常日頃から思っていた身としては、この-ヨドミ-のフライヤーは抜群にかっこいい。あと紙の材質も!!そんなわけで、この思いを抑え切れず、外看板にたくさん貼り付けさせていただきました。本音を言えば、もっとお洒落に素敵に魅せられるセンスが欲しかった……

以上でした。例によって整理がついたらまた書くつもりでございます。過去の投稿も同じくですがちょこちょこ増えていくのだろうと……

 

-ヨドミ-の、というか藤丸さんのお話は観る劇薬だと思っております。中毒性が高い、でも摂取しすぎると心がギュッとなるけど戻ってこられない、定期的に摂取したくなる等々。それは役者さん達個々の魅力や個性もとても色濃いことによる相乗効果も当然あって、総括して-ヨドミ-という集団なんだなと思うし、藤丸さんの作品に携わって来た方たちも同じくだし、毎回本当に絶望やら自己嫌悪に苛まれるんですけど、とても生きている気がします。あの空間を、空気を、場所を、存在を、感情を、2年前以前のような規模で多くの方に出会って頂きたいと思います。相性はあるかもしれないけど、それを超えられるならきっと世界は変わります。少なくとも私は変わったなと思います。ひとりが思うなら100人は同じ考えだたと言う言葉もございます、強ち間違いではないのですよ。だからきっとまだまだたくさんの方が人生を変えきれてないのかも。もっとも、人生が変わったというのは受け取る側が勝手に思って勝手に救われるだけなんだけどね!とにもかくにも、あなたもいつか-ヨドミ-を、ひいては藤丸さんの作品を観てくださいという気持ち。とても美しいのです。

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改めて、この度はご来場頂きまして誠にありがとうございました。キャストの皆様もお疲れ様です。また生のお芝居が見られますように!!

ありがとうございました。

黒田七瀬

 

追記

あまりにも毎日暑すぎて、でも動かなきゃいけなくて、1日4.5食くらい食べていたよ。ファミチキは毎日コースだったよ。ごはんはだいじ。インスタもみてね。