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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

2022/3/11-12 トライディアコラボ「ほんまる」第2回公演『Bright Star~asterisk~』お手伝いしていた話

黒田七瀬です!あっちゅーまの2月が通り過ぎて3月も中旬に差し掛かろうとしておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はほどほどに季節の移り変わりと速度の速さを感じております。本当に日々はあっちゅーまだけど、そのぶん一生懸命生きられていたらいいなと思う今日このごろでございます。

 

さてさて

前回・前々回とアンダーキャストとしてお世話になったトライディアさんと【ほんまる。】のコラボ公演『Bright Star~asterisk~』にて、今回は当日運営スタッフのひとりとしてお手伝いしておりました!ご来場頂きました皆様、まことにありがとうございました。


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数年前の第1回公演ののち、トライディアの公演を3回挟んで再び公演を打つことになった【ほんまる。】。第1回公演は客席で観ていましたが、今回はお手伝いとしての参加です。時の流れを感じちゃいますね。有難いことに今回も公演を観ることができたので、いつもよりは簡潔に振り返りをさせていただきたく思います( ˘ω˘ )

いつものごとく いち観客の 個人的な感想です。

  • 今回の公演でいちばん好きなシーンは、作品の最後に描かれたスネークとアクアのシーン。「少し、休もう」「ああ」という言葉にいろんなことを考えてしまいます。知らない土地で自分の居場所や存在をずっと自問自答しながら生きてきたんだろうなと勝手に思いを巡らせてしまう。私だったら疲れちゃって全部投げ出してしまうけど、虎視眈々と自分の目的を果たすべく心を研ぎ澄ませて生きていたのかしら。それってとてもしんどいし、振り返ったときにとても虚しくなってしまいそう。いっそ遠くにあってくれたらいいけど、すぐ近くまで迫ったのに手にできなかった時の喪失感は計り知れないですが、今回のスネークはまさしくそういった結末。耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて、ようやく巡ってきたチャンスは最後の最後で掴みきれなくて。仮に全てが果たされたとしても、よく分からない空っぽのままで生きていくことにはなりそうだなあと私は思ってます。そんなふうに、「自分は何者でもない」「どこにも帰る場所がない」と思っているスネークに「少し休もう」と言ってくれるひとは確かに存在していた。その言葉に返事ができたっていうことで少しは報われてくれないかなあ…報われないよなあ…私は嬉しかったけどさあ…。無音の薄暗いなかで、というのもあったからか、とても印象深いシーンでした。アクア役のかなえさんの力強さと優しさが合わさったような声が好き。愛はきちんと伝えないと伝わらない場面のほうが多いと思っているけど、寄り添うことで伝わる愛や温もりはきっとあるのよね。ここに。
  • ここまでスネークについてたくさん書いてしまいましたが、スネーク役の山中さんのシーンごとの切り替えというか使い分けが…すごくて…!!ただ切り替えてるのではなくて、(当たり前かもしれないけど)芝居というか人間が変わっている。技術力を身につけねばと思っている今日この頃、大変痺れました。ありがとうございました。
  • トライディアでお会いするたびに冨沢さんのお芝居について触れずにはいられないんですが、今回のレオさんも例に漏れず。お芝居はもちろんなんだけど、冨沢さんを見ていると楽しいとか元気とか、そういうエネルギー的なものをいただいております。それにプラスして悔しさとやる気と負けん気と。人の心を動かす=役者である、という意味を突きつけてくれる先輩です。明るくて愉快な先輩かと思いきやキメるところはキメる。プレアさんとのお別れや認証パスワードのシーンはグッと来ました。たった6文字の言葉なのにいろんなものが詰まっているのだと、ひしひしと。レオさんには明るく楽しい日々に身を置いてほしい。あわよくば誰かと一緒に。
  • かなえさんというかアクアさんが、というかやっぱりかなえさんがめちゃくちゃカッコよかった。これまでに観たかなえさんのお芝居のなかで特に好きかもしれません。意思のあるかっこいい強いキャラクターがですね、私は大変好きでして、これは無い物ねだりや憧れも多分に含まれているのですが、私が好きだなと思うキャラクターは意思が強い方々がとても多いのです。かなえさんの出来るところや素敵なところが、今まさに私が欲しいと思う部分だったりするので、すごくビリビリしました。いいなあ。
  • 秤さんについて、最後の最後になるまで「自己主張がない方だなあ」というのが正直な印象でした。それはスバルと良平のふたりがその真逆であって、主人公はスバルだという前提があるからだと思うんですよ。そして最後まで観たうえで「これ主人公ふたりいません?」というのが最終的な私見です。その私見に基づいてお話を進めますが、バランサー型の主人公って絶妙に影が薄くなることってありません?お話の中で秤さんがピスケスたちとともに行動するシーンがあって、そのなかでも物語は動いてはいるけどあくまで主軸はスバルたちのほうだと思っているので、秤さんは主軸から離れたところで動いていて。ここから主人公がスバルと秤さんのふたりになったんじゃないかしら、と。なんかね、シーンの分かれ方が巧妙だなあと感じました。このあたりから秤さんの葛藤があって、最終的にスバルに想いを伝えるわけですけども、ここに至るまでのまさともさんの芝居力と技術力の両方を観られてとても面白かったです。勉強になりましたという気持ち。
  • ピスケスの言葉の使い方、とても楽しい。それをしっかりと表現してみせる小田さんはさすがだなあのひと言。母国語を話していると流暢にカッコよく話すのが良いなあと思います。言葉が切り替わるたびにアリーちゃんへの愛情を感じてしまいます。当たり前のことなんだけど、ただ音変えてるだけじゃなくて佇まいまで変わってしまう気がするのです。とても役者。
  • トライディアのお楽しみのひとつが兼ね役だと思うんですけど、今回はアンサンブルの皆様がそれを一手に担っていて。とくにノクターンシンフォニアに場面が移ってからは、その星で生活する住人たちをアンサンブルキャストで演じていたわけですが、あの方達がいないとノクターンの歪みみたいなものは伝えきれないし、スバルと良平が激昂するきっかけもないので、お話が進まないんですよね。たった数ワードのセリフとはいえ意味のないものは何もなくて、ひとつずつの言葉をしっかり演じて爪痕残してるのがカッコよかったし、純粋に羨ましくて爆発しそうでした!とくに丸さんとまいちゃんは一緒に共演もしていたのもあり、嬉しさ半分悔しさ半分な気持ちでした。とはいえ2人に会えたのも、蓮実さん若月さんと知り合えたのも嬉しかったです。私もがんばらねばです。お疲れ様でした。
  • アリーちゃんが…王女から女王に…!ピスケスが流暢な言葉を話していたということは、あの場面ではシンフォニアの言葉を話しているということなのかしら。ということはアリーちゃんはシンフォニアの言葉を話せちゃうということ…?!おてんば感溢れる描かれ方をしていたけど、そこはしっかり教育されていましたと言われれば納得できる。あるいは共通の言語が制定されたとか。最後のシーンだからカタコトにしたくなかったという意図であってもなんでも納得はできるんだけど、いずれにしてもアリーちゃんのピスケスさんへの愛情を、アリーちゃん自身が確かめたうえでより強固なものに昇華できたというのは素敵なことであるのには変わらないと思うのです。伝えなきゃ伝わんないことのほうが多いからねえ。ちゃんと伝えていきたいものです。愛も、そうでないものも。
  • アルタイルとベガの認証パスワードで「アア…」ってならなかった人いるんですか?本当の本当に世界でたったふたりの、自分以外でたったひとりの肉親っていう響きがせつなくないですか。そのうえで最終的に道を違えるって、どれくらいの勇気と覚悟が必要なんだろうと思わずにはいられません。自分に置き換えて考えると身を引き裂かれるような寂しさと恐怖を感じて鳥肌が立ちます。あのおふたかたに勇気だの絆だの信頼だの、そういうのではなくて、なんか別の言葉で表すべきではと…思ってしまうのだ…私が言及するべくもなく、当たり前に見ているものや考える次元が違うのでは…。
  • ここまで長く書いたけど、これだけ面白い公演だったと思えるのは作品あってこそです。藤丸さんの描くファンタジーとはあまり多くは出会えていないけど、胸踊る世界を藤丸さんの色で観られて私はとても楽しかったです。Bright Starが今も先輩方の口から語られる作品である理由を身をもって知りました。お疲れ様でした。
  • ※(これは自分の中で整理出来次第追加されるであろう文章のスペースです)

 

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私の頭の中の記憶容量的な理由で全部に触れられず、なのですが。ここからは今回の公演とは関係のない超自分語りのターンなので、あんまり読まなくても良い部分です(´・ω・`)

脚本・演出を担当された藤丸亮さんの作品に私がはじめて出会えたのが、約4年半ほど前に座・高円寺2で公演された集団No Planさんの公演『MAZE 爆裂セイバー&40』でした。お芝居ってこんなに面白いんだなあと心の臓までぶっ刺されて大変ショックを受けて、いろんなきっかけをもらえた作品です。

そういう意味で今回この座・高円寺2という場所で、昔はじめて板の上に立った3月という時期にスタッフとしてでも携わることができたのは、なんだか意味があるような気がして、何か意味があるんだと信じたくて、いろんな思いが巡っていた3日間でした。うまく言えないけど、意味のないことは何もないと思っているから、そう信じてみたくなるのです。

お客様をお迎えするということ。

お客様に楽しんでいただくということ。

お客様にお芝居を観て頂くこと。

お客様と同じ時間を過ごすということ。

お芝居とともに生きるなら絶対に必要なこと。そして、公演でいちばんはじめにお客様をお迎えするのが受付。とても当たり前のことだけど、受付のかたがいないとお客様をお迎えすることはできない。公演のいちぶであると思います。私にとっても、お芝居に携わるおおきなきっかけになったのは、受付をはじめとした当日運営としてのお手伝いです。今のところは自分が出演した公演よりもお手伝いした公演の方が圧倒的に多いけれど、それだって当たり前のことではないんだと思います。

こんなに面白いんだ。こんなに楽しいんだ。こんなに苦しいんだ。それなのに憧れてしまうんだなあ、泣きながら電車に乗って帰った約4年半前。こうしてお手伝いできたことや、この場所でこの時期にお芝居を観られたこと。とても嬉しかったし悔しかったし切なかったし、がんばらねばと思いました。頂いた力を原動力にまた今日から生きていこうと思います。

 

…なんだか壮大なお話になっちゃった気がしないでもないけど、改めて!!

ご来場頂きましたお客様、ご出演の皆様、作品を美しく楽しく彩っていたスタッフの皆様、一緒に受付周りで頑張ったみんな。すべての皆様にお礼申し上げます。感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました!またお会いできますように頑張ります。ありがとうございました( ˙꒳​˙  )