SEO的に記事のタイトルは32文字が良いと言われておりますが、最近観たお芝居のタイトルがどちらも長かったので仕方がないと思う。
そんな感じで。
今年に入ってから何本かお芝居は観に行っているんですが、ブログを書く時間とメンタルを作らずにツイッターのみでぽつぽつ呟いてたんですけど、ちょっとだけ落ち着いたのでブログを書きますです。
これまでどおり文章とか言葉とかひっちゃかめっちゃかです。悪しからず。
# ソラと鼓動の聞こえる距離
in 新宿シアターブラッツ。
まず会場に足を踏み入れた時に「うお!」と思ったんですけど、これまで観劇してきたどのお芝居でも見たことがない配置…!なんやこれ!ワクワクが一気に高まる。
で、開演までの数分間で流れていた音楽がこう、ピコピコ感のあるサウンドですごく可愛いのです。ゲームサウンドのごときかわいい音楽がぽつぽつと。まだなんの言葉も耳にしていないのに、少しずつ物語の世界にトリップしていくような錯覚に陥りました。ぞわぞわ。
そしてはじまったお話は、脆くて儚い、とてもやさしいお話。
「僕、あなたのことを書き溜めてソラへ飛ばします」
はじまりはたった一言。
若くして亡くなったとある女性・ミソラと交わした、ほんのささいな約束。
死後の世界と現代、そして過去とを何度も何度も行き来しながら進んでいくけど、不思議とせわしなさは感じなくて、すっと物語の世界にいざなわれるようでした。
後半はほぼずっと泣いていて、すごくやさしい感傷に包まれました。少し自分に重ねてしまったのもありますが、延々と泣いておりました。
はじめは重ならなかったお話のすべてが、少しずつゆっくりと繋がっていって、ようやくひとつになったのを理解した瞬間に涙がもう…止まらなくなったよね…!そこに至るまでに起きたどの事象が無くても実現しなかった結末。ここまで見てきたものが全部ぐわあっと、走馬燈のように頭のなかを駆け巡りました。なんやこれうわあ、やばい。頭で理解するよりも先に泣いていました。
私がいちばん泣いたのは、ロボットのソラと、ミソラの妹とが対峙したシーン。それまで冷たい印象しかなかった妹が、はじめてお姉ちゃん(便宜上はソラ)に長年自分が持っていた思いを打ち明ける姿は冷たい大人の女性ではなく、幼いながらに姉を思っていた子供の姿に見えたとき「役者さんってすごいなあ」と改めて感じました。だってね、確かにそこにいたんだもん、生前のミソラと幼い日の妹が。泣くなって言われてもこんなの泣いちゃうよ!見た目だけなら妹さんのほうが年上で、ソラのほうがずっと若く見えるのにね、たしかにソラのほうがお姉さんなんだよ。うわー!うわー!!
最後の最後にやっとミソラがかつての約束を思い出し、静かに語らう姿は息をするのも忘れました。死後の世界でさまよっていたときの印象とはまるでちがう。同じ笑顔なのに、なんだか自分自身に確信を持ったような、そんな笑顔がとても印象的でした。
はじめに書いたとおり、今回は客席と客席の間にステージがある構造だったので、あわよくば向かい側からもう一度見てみてたかったなあ…!なんていう思いもありつつ。
それと、去年「幸せの刻」や「凍焔」で見て気になっていた、朝原さんもとい案内人さんがとても良いなあと思ってました。
勢いのままに箇条書き。
# SIS〜僕の彼女は多重人格〜
in 下北沢小劇場 楽園。
結論から言うけどめっちゃ面白かった。約2時間がマジで秒だった。過ぎてみればあっという間。楽しかったです。
藤丸さんの脚本じゃない、藤丸さん演出の作品を見るのははじめてだったので、どんな感じになるのかな?とわくわくそわそわして階段を降りて会場に入った…ら!これまた面白い配置…というか、構造上の問題なんだろうなと思うけど、なにこれ?!と。すでに役者さんがぽつりと佇んでいて、ぐっと世界観に引き込まれる感覚。
はじまってからはあっという間でした。
過去の約束を果たそうと東大を目指す雄太、約束はおろか雄太の存在すら覚えていない深雪、心の中に生まれた雄太、深雪のなかで葛藤する人格たち、深雪を救おうと奮闘する周りの人たち。そのすべてをコミカルにシニカルに、時に感情的になりながらも描ききった作品。世界観をつくりあげる音や照明と見事に融合していて、この結末を知りたいと急かす思いを掻き立てる。これを面白いと言わずしてなんと言う?
多重人格者である深雪と主要人格たちとのユニゾンも本当に見事だったし、動きと言葉とを過不足なく体現してみせたのは圧巻だった。その瞬間、どの人格もがたしかにそこに生きていた。彼女を守るために、彼女をしあわせにするために生まれてきたその人たちは、たしかに時を生きていた。ちなみに私は滋さんが好きでした。自己犠牲は美しいけど脆いね。
白いビニール紐を舞台で使っちゃうのはやばいね!なんで思いついたんだって思うけど、しっかり意味を持って形になるのすごい。いつもいつもいつも思うけど一体どんな脳内してるんでしょうね。切り取って覗きたいくらい。
見終わった頃には安定の死にたくなる感覚にボコボコにやられました。無事に死にたくなる、という事象。藤丸さん演出の作品を見て死にたくならないことはないなあと改めて。
今回も例に漏れず無事に死にたくなりました黒田です。本当に面白くてキャパオーバーにキャパオーバーを重ねてくるやつです。いやー面白かった。語彙力が死んでいる。黒田です。
いつもそうなんだけど、観に行ってよかった、と思えるお芝居にまた出会えたときは胸がいっぱいになるしうれしいし、せつないし、出会ってしまった事実が悲しくなることすらある。お芝居ってすごいな、役者さんも演出さんも脚本家さんも制作さんも照明さんも音響さんもみんなすごいなあ、人の力が終結するとこんなに素晴らしいものになるんだなあ、と思わされます。もはや合法的な麻薬。
言葉はとめどなく溢れるけどまとめる力がまだないので、今回はこんな感じでっ。
〆