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観劇日記と役者ごと・お手伝いごとまとめ

7/27(金)集団asif~「アズイフ短編集A」「リレイヤーⅲ」観劇しました

7/27(金)から29(日)に行われた集団au if~さんの公演「リレイヤーⅲ」および「アズイフ短編集A・言の葉」に行ってきた。簡潔に自分の思いや感じたことを書きおこしてみようと思う。

 

まずはアズイフ短編集A・言の葉。

盲腸との診断を受けて入院している女の子と、小説家を目指す男の話だ。ふたりの会話や空想があまりにも面白く、声を上げて笑ってしまった。演じている役者さんの所作ひとつひとつが面白く、思わず見入ってしまう。そのぶん、突如落とされる暗い影がとても重く見えたし、1時間にも満たない公演ながら、さまざまなものがぎゅっと詰め込まれたものになっていたように思う。あまりにも密度が濃すぎた。少しごちゃごちゃになった自分の頭を整理するのに時間を要した。

 

そして今回の表題作・リレイヤーⅲ。

直前に見たアズイフ短編集A以上に情報量が多すぎて、頭のなかがぐちゃぐちゃに混乱していたけれど、明確に思ったのは「いまものすごく死にたい」だった。

私はすぐに死にたくなる。それは朝の満員電車のなかであったり、いくら考えても食事を決められないときだったり、楽しくてしかたがないときであったり、どうしようもなく自分自身を殺してやりたくなるほどの自己嫌悪に襲われたときだったり、本当にいろいろなときに死にたくなる。すぐに死にたくなる。でも今回はそのどれも違った。

私は劇団などの集団に所属したことはない。それっぽいやつに片足を突っ込んでみたことはあるけれど、未だに舞台は経験がない。だから本当の意味で笑ったり泣いたり、感動したりはできていないのかもしれないけど、それでも心に迫るものを感じた。

 

次に感じたのは、出演されていた劇団員の皆様の魅力が底知れないことだ。恥ずかしながら、集団asif〜のお芝居を見たのは今回がはじめてだったので、出演者の皆様はおろかアズイフのなんたるかもまったくなんにも知らなかった。本当に何も知らなかった。この公演を見て真っ先に思ったのは「私はなんて無知だったんだ」ということだ。この人たちのお芝居を知らずに生きてきたなんて損以外のなんでもない。それほどにアズイフのみなさんのお芝居は魅力的だったし、そこはかとなく狂気すら感じた。その狂気にきっとどうしようもなく惹かれてしまうのだろうなと。

人生におけるたった数時間。そのわずかな時間にすべての魂を傾けていて、ひょっとしたらそこで息絶えたとしても本望だと思っている。きっとそういう人たちなんだ。違ったら違ってたとしてそれで構わない。それほどの気迫を持った方たちなんだと。

人間がいちばん輝いているのは、間違いなく自分の思想や思考、命にいたるまでの全てを削っているときだ。私はそう思っているし、きっとそれは変わることはないだろう。暗い場面だとしても明るいおちゃらけた場面だとしても傾けられているものは同じで、ぎらぎらとしたなにかを感じた。そういうものにこそ私は惹かれてしまうので、ごちゃごちゃ混ぜになった頭を必死に回転させて、のめり込むように観劇していた。

 

いちばん突き刺さったのは、劇中の登場人物のひとりである重野が言った「役者は脚本がすべてだ」といった旨の言葉である。拙いとはいえ、私も作家の真似事のようなことをしている。だからこそこの言葉にぶっ刺されて、息が詰まって本気で死にたくなった。

役者を生かすも殺すも、面白くするも飼い殺すも、ある意味では脚本を書いた人が決めるのだと、暗に詰め寄られている気がしたのだ。それは確かにそうだと思ったし、幼い頃からやっていることの延長戦上でやっていた「書く」という行為に対して、はっきりと責任を問われているような気がした。もちろんそれは私の勝手な解釈だし、考え方によっては自分自身の勝手な思い込みであり顕示欲だ。

役者にとっては脚本にある役がすべててあり、それが役者自身の価値を決めると言っても過言ではない。とっくに分かっていたはずなのに改めて言われると、これまで私がしてきたことの全てを否定したくなるし、事実私は否定した。私が書いてきた、そして演じてもらうことによって具現化された人物たちは、はたしてあれでよかったのだろうか。面白さや楽しさを提供できたのだろうか。私は役者に色を塗ることができたのだろうかと、このエントリーを書いているいまも考えている。自責の念を止められないままでいる。この自問自答は当分繰り返されるのだろうと思った。

 

ずっと声優になりたいと思っていた。大きな括りとしては俳優なんだろうけれど、こころの奥底では「私は声優になりたいのだ」と考えていた。今回の公演を見て、心で芝居をするという言葉の意味をようやく理解できたような気がした。

むかしとある先輩に「黒田は感覚に訴えるような芝居や現場を見たら変わるかもね」と言われたことがあったけれど、本当にそのとおりになったなあ。今でこそそこそこの長さのお付き合いになっているけれど、出会ったごくごく初期から見透かされていたのが悔しい。有難い話ではあるけど。ううむ。

 

まとまらないながらに考えた感想としては以上です。

完全に自分にとってのメモ書きのような感じになってしまったけど、いまはこれ以上はまとめられそうにないので諦めます。ごちゃごちゃですみません。

 

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今週の週末は!
レイドバックシグナルさんのワークショップ公演「狗傅(くでん)」の公演がいよいよスタートします!!
じつは2度ほど稽古にお邪魔させていただいて、当日は受付&制作として参加いたします。どうぞお越しくださいませ。